いたるの部屋 その7

「医療ドラマに最も大事なのは経験値?」

こんにちは。
A Day In The Life 火曜日担当の「いたる」です。

2月14日バレンタインデーは「いたるの部屋2周年スペシャル」と題して、特別営業いたします。

と言っても、通常料金ですし、女装するわけでもなく、いつもと同じです。

が、2年も続けて来られたことに感謝の思いを込めまして、お通しは僕が大好きな新宿2丁目の家庭料理居酒屋「呑み食い処 せいりょう 晴亮」さんに特製折り詰めを作っていただきます。

またバレンタインデーなので、ちょっとだけですがチョコレートのプレゼントもご用意しました。この2年間応援していただいた皆様にお会いしたいので、遊びにいらしていただけると嬉しいです。

なお、翌週21日(火)と翌々週28日(火)は2週続けてお休みさせていただきます。

申し訳ございません。

今月は2月26日(日)に、「春間近!昼酒スペシャル」と題して14時オープンで営業いたします。月末の日曜日、昼から2丁目で一杯飲みつつ、大人の会話を楽しみませんか?

こちらもお待ちしております。

さて、日曜日の夜といえば、TBSの「日曜劇場」ですよね!

週替わりの一話完結ドラマ時代から(「女と味噌汁」とか「うちのホンカン」とか懐かしいですね)ませガキだった子供心に「大人っぽくて面白い」と見てましたが、山田太一脚本の「丘の上の向日葵」から今の連続ドラマ形式になって以降も心に残る作品が結構あります。

三浦友和がふんどし一丁で滝行する場面から始まり、最終回も同じくふんどし滝行で終わった「オトコの居場所」(中条静夫の遺作、撮影中に亡くなり、その設定がドラマでも活かされた)。

萩原健一と石田えりという重たそうな2人がコミカルに夫婦役を演じる「課長さんの厄年」。

唐沢寿明と樹木希林が親子役で、つみきみほが唐沢の婚約者でヒロインかと思いきや第二話で急死、同じ職場の江角マキコ(これがドラマデビュー作)が真のヒロインだったという驚愕展開の「輝け麟太郎」。

役所広司、段田保則、西村雅彦らに松本明子がモテまくる、コメディ設定のようで結構シリアスだった「オトナの男」。

松田聖子の主題歌(さよならの瞬間)目当てで見始めたら面白くてはまった「Dearウーマン」(東山紀之・大竹しのぶ主演)。

などなど、作品名を上げていると枚挙に暇がないほどです。

近年でも「天皇の料理番」や「下町ロケット」など、骨太な大人向けのドラマが目立つ枠です。

その「日曜劇場」で現在放送中なのが、元SMAPの木村拓哉主演「A LIFE」です。

キムタクが天才医師を演じる医療もので、共演は竹内結子・浅野忠信・松山ケンイチ・及川光博・木村文乃・柄本明など主役級の豪華な面々を集めています。

皆さんはご覧になっていますか?

………………….、そうですか、あまりご覧になっていないようですね。

確かに視聴率も微妙です。

今季のドラマでは一応トップ視聴率とはいえ、キムタク&豪華キャストで日曜劇場という枠にしては、毎回15%以下。

このドラマの話題を振っても、見てる人がイマイチ少なくて話が盛り上がらないような状況です。

「何をやってもキムタク」

と批判する声がネットには溢れています。

それはその通りです。

キムタクはどんな役を演っても、いつもと同じくキムタクです。

でも、それがいいんですよ。

スターは小賢しい演技なぞする必要はありません。

高倉健さんだって、吉永小百合さんだって、いつも健さんのままだし、小百合ちゃんのままです。だって、ファンはそれが見たいのだから、スターはいつも同じ演技でいいんです。

「A LIFE」はキムタク棒演技を補うように、周囲の役者が芸達者ぶりを競い合います。

特に竹内結子の「顔芸」はお見事。

長ゼリフの最中に微妙に表情に変化を加えていくことで、会話をやり取りするキムタクの棒っぷりが目立たなくなるという、神の領域、と思えるほどの顔芸を毎回惜しみなく披露してくれます。

脚本のせいでキャラがブレまくりサイコにしか見えない浅野忠信の怪演や、脇に回ることで肩の力が抜けたような松山ケンイチの軽さも合わせて、役者陣は結構楽しめます。

しかし、この「A LIFE」の問題は、脚本始め製作スタッフが医療ドラマに慣れていない感じがありありなことなのです。

現在アメリカでシーズン13が放送されている医療ドラマ「グレイズアナトミー」の大ファンで、ず~っと見ている僕にとっては「A LIFE」には物足りなさを感じてならないのです。

病院の宿直室で医師たちがヤリまくる場面がやたら多いとはいえ(←こんな病院に入院したくないと思うほど)「グレイズアナトミー」は、難しい病気の病巣を説明する見せ方がCGなどを使って立体的な巧みさであり、かつ手術シーンがリアルなので、医学に無知な僕でも、どんな大変な症状で、手術がどれくらい困難なのか理解できるのです。

それに比べると「A LIFE」は、難しい医療用語を頻発させ(全て字幕が出ます)る割に、詳しい解説が為されないので、困難さがイマイチ分からないうちに天才医師キムタクが何とかしてくれるので、狐につままれた感ばかりが残ります。

ドラマの初回で、小児科の医師・竹内結子の脳の深部に腫瘍が見つかります。

その困難な手術に、脳外科ではなく小児外科のキムタクがなぜか挑む、というのがこのドラマの主軸となる物語。

でも、この設定自体が「グレイズアナトミー」のパクリっぽいのです。

「グレイズアナトミー」シーズン11の前半にゲスト出演するのが胎児外科の名医ジーナ・デイビス。

彼女の脳には、竹内結子と同じ腫瘍があります。

しかし、その手術が困難すぎることは同じ医師として理解しているジーナ・デイビスは手術をせずに残された日々を、自分の経験と技術を弟子に伝承することに捧げようとします。

しかし、それを知った周囲の医師、特に脳外科の名医の説得で手術を受けることになるのだが、という展開です。

脳外科の名医たちがこぞって匙をなげるほど手術が困難なものであるにも関わらず、「A LIFE」ではその深刻さがイマイチ描ききれていません。

手術方法が見つからないために竹内結子に病気を告げられないまま、彼女の頭痛が酷くなり物忘れの症状も出始めます。

第四話のラストでは激しい頭痛で昏倒する状態にまでなりながら、本人に告知できません。

にも関わらず、第五話では竹内結子が手術をし始めます(←こんな病院、マジで入院したくない)。

「グレイズアナトミー」では、病を自覚しているジーナ・デイビスは自分が見込んだ優秀な弟子にオペをさせながら、指導することに徹します。
脳外科医のチェックを常に受けて、自分の腫瘍の状態を把握しつつ、限界に達したら即手術するという条件のもとでです。

そこまで描くからこそ、病気の深刻さ、困難さが伝わるのです。

その辺りが全く描けていない「A LIFE」。

視聴率が思わしくないことでキムタクばかりが叩かれるのは、ちょっとお門違いな感じがしています。

とはいえ、ここまで見てきたので最終回まで付き合うつもりではあります。

ラストに向けて、少しはリアルな興味深さが生まれることを期待しつつ。