【二丁目の一夜の一首】VOL.5 四月某日

水たまり避けてよろけた反動で見上げた春へぶれる満月

(枡野浩一)

 

桜の季節に芸人になろうと思った。歌人なのに。44歳からの2年間お笑い芸人事務所にいた。芸人の先輩方と花見するのが夢だったけれど結局、一度も花見に混じれなかった。元相方たちが、テレビで活躍中の芸人と並んで花見している写真を、ツイッターで見た。私は恋人と花見した。人生で初めての春だ。

 

 
枡野浩一 / 1968年東京西荻窪うまれ。歌人。

大学中退後、広告会社勤務のコピーライター、フリーの雑誌ライター、作詞家などを経て、1997年『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』(実業之日本社より二冊同時発売、絵=オカザキマリ※おかざき真里)で歌人デビュー。最新短歌集は『歌』(雷鳥社、写真=杉田協士)。

 

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絵=目黒雅也

 東京都西荻窪出身のイラストレーター。日大芸術学部デザイン学科奨励賞。著書に、『絵本むしうた』 (日本デキシーより紙コップ絵本 現在絶版)  絵本『あれたべたい』(あかね書房)作画・目黒雅也 / 文・枡野浩一

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