パヨクのための映画批評 14

オネエが描く反キリスト教の欧州史~

「アレクサンドリア」(”Ágora”、スペイン、2009年)

スペインと言えば、保守的でカトリックの牙城みたいな国のイメージあります。むしろイタリアの方がバチカンを持っていたのにルネサンスやっちまったりして淫猥。フランスは、ルネサンス期の世俗曲の内容からしてどうかしている。その中にあってスペインには情熱よりも暗さを感じる。「宮崎アニメの暗号」という本で言われているように、スペインはケルトの影響が色濃く残る国。スパニッシュホラー映画が2000年代ハリウッドの「アジア女幽霊の海外進出」と一線画しているのは多分そのせい。

で、イタリア人の友達が言う:イタリアで離婚できるようになったのホント最近なのよ。昔はねえ、イタリアではテレビで踊ることすらだめだったんだけど、ある女性歌手がねえ「イタリア半島の上から下まで巡って男を探す♪」というような猥雑な歌を伴って初めてマイクの前で踊ったわけ。彼女はねえ、その後スペイン行って、スペインを解放したの。アモーレで。ついでに言っとくけど、フランスに料理と食事マナー教えたのもイタリア人よ。

ああ~よかったな~あなたがいて(花*花)。彼女から「欧州」という存在について学んだことは多く、今あたしがこうしてエラっそうにパヨクの映画批評なんか書いているのも彼女のおかげ。わたしもあなたの数多くの作品の一つです(私、福岡県民だからタモリさんと同じこと言う)。

さて、今回は、スペインが誇るもう一人のネエさん監督、アレハンドロ・アメナバルさんの映画「アレクサンドリア」を紹介します。

時はローマ期の終わり、エジプトのアレクサンドリアで人々に色んなこと教えてた女性、ヒュパティア。彼女はその知性である科学的な大発見に至ろうとする。そんな彼女にキリスト教徒たちは反発を強めて行く。

アメナバル映画は「テシス 次に私が殺される」「オープンユアアイズ」「アザーズ」等のサスペンスから「海を飛ぶ夢」のような重たい映画まで、オリジナルの面白い脚本を自作するすごい人。もちろんネクラのパヨクに違いない彼が好むテーマはずばり「反キリスト教」。

本作、原題「アゴラ」というのは広場という意味で、人々が自由に議論をし知性を啓くという意味なのだと思う。本作がすごいのは、従来欧米の映画で「貧民を救ったキリスト教」という善の存在として描かれてきたキリスト教を、黒い服と醜い顔、そして悪辣なテロリストとして描いたこと。そして、自由・知性・真理を象徴するローマ人が白い服と美しい顔、そして善をつかさどる人々として描かれている。アメナバルネエさんも好きねー。

でね、本作が更に高い次元に行ってると思わせるのが、奴隷の子の存在。知性を宿した奴隷の子をサベツせずに教えるヒュパ美だけどねえ、所詮は奴隷の子。同じ人間としては見てないわけ。それを知った奴隷の子、ヒュパ美への思慕の念があったから、こじれていくのよ…「神は全てを救いたもう」と教えるキリスト教者になっていくの。ローマは多神教だったから余計にギャップが大きい。

反キリスト教映画でもこんな風に描いた映画ってあたし他に知らない。

最後もさあ(ネタバレ危険オカマのあたし、「ソフィーの世界」をツイッターでネタバレして怒られたことある)、メロドラマとしてのデキもいいんだけど、結局ヒュパ美はサベツを乗り越えないと記憶しているわ。彼女は科学者だったんだもん。彼女がやった発見はキリスト教徒が破壊してしまい暗黒の中世に行く。その発見はもっとあと、ルネサンスの後だったかしら。再発見されるのよ。

欧州のことは概ね「ギリシア・ローマはよかったなぁ」「ドイツは何か好きじゃないなぁ」の二本立てで分かった気になれる。ルネサンスも所詮は「再」復興であり、イギリスの産業革命なんて正直重視してない。欧州にこのまえ初めて行ったんだけど、質素よ。ものが無い。共産主義国かと思ったわ(あたし北朝鮮とか行ったこと無いんで寝言)。

欧州はキリスト教抜きでは考えられないものの、「信じない」という選択肢も与えられている気がする。多分アメリカでこういう映画作るとしたらホラー・サスペンス映画になってしまうでしょうし、悪魔が出てきて勝利するとしてもキリスト教を前提としたお話になっている。日本ではそもそも何も信じていない割に「何でもありがたがっとけばいいや」というのんきな形で信仰心が機能している。なので、本作のような映画は出てこないでしょう。アメナバルさんはいつも、キリスト教的ではない「もう一つの世界」を夢見ているように思う。それがスペイン的な想像力なのか、ゲイならではなのか・・・分かりませんが大変興味深いネエさん監督です。

 

執筆者・竹美

ほぼカムアウト状態の会社員。九州のパヨクな家庭に育ち、パヨク思想に染まっていることに無自覚なまま二十歳を迎え、周囲の同級生が順当に就職活動を開始した頃、全然やる気になれず焦って大学院へ逃亡。それが、「企業=金儲け=巨悪」だと信仰していたためだと自覚したのはその10年後。「思想転向」のリハビリ過程で、「真っ先に悪を告発する紅衛兵」の素養を小学生位のときに発揮して同級生にウザがられていた記憶もフラッシュバック。

このコーナーでは、映画を通じて「私やあなたというパヨク」の滑稽で哀しく、正しくて誤っている物語を発見していきたい。