パヨクのための映画批評 14

「悪魔」が出てこないアメリカホラー映画~

「ポルターガイスト」(”Poltergeist”、アメリカ、1982年)~

さて、久しぶりにホラー映画論でございます。私は子供の頃にどうしても見たかったホラー映画が何作品かありました。その中でも「ポルターガイスト」には何故か極端に執着を覚えていました。多分、超能力少女的な要素に惹かれていたのでしょう。本作は「2」はちょっと散漫ではあるが、自信を失った父親に新興宗教が取り入って「父性」を煽る、なかなかに社会的な設定、「3」では冷たいシカゴの街の超高層ビルの中で、家族と断絶された少女があの世の方に親近感を抱く・・・というそれなりの展開を見せましたが、非常に残念なことに主演女優のヘザー・オルークが「3」の撮影中に亡くなってしまいました。YouTubeの動画で彼女のお母さんがインタビューに答えているのですが・・・一度観たらね、忘れられないよ、ヘザーが乗り移ってるみたいな衝撃的な出で立ちなの。映画の呪いとかよりそっちが怖いです。

さて、第1作。今回見直したところ、色々と面白いことに気が付きました。

①アメリカの女子高生はベッドでポテチ食いながら寝る。

②夫婦が寝室でマリファナ吸うが、お父さんはレーガン大統領の本読んでいた。

③アメリカの超常現象を扱うホラーの中では珍しく、「悪魔」が一切出てこない。

余談ですが、「あの霊達は、とっくに死んでいるのに死んでいることに気が付かず、永遠の悪夢をさまよっているの…」という霊媒師のセリフがあり、「それパヨクのことじゃん…」とそこはあまり笑えず。

個人的には上記の中で②も非常に興味深いのだが、ちょっとまだ材料が無いので、③に関して考えます。「幽霊と悪魔とどちらが怖いか」という想像力については考えてみましたが、もう一つ、アメリカ人のホラー映画消費と、日本人の怪談の消費の仕方には、大きな違いがあるようなのです。アメリカ人は、ホラー映画をジェットコースターのような娯楽としてきゃーきゃー言って楽しんでいるのではないかという予感があります。つまり「全然信じていない」からこそホラー映画は娯楽として機能しているのでは、と。

対照的に、日本の(恐らくアジアほぼ全域と言ってもいいでしょう)「怪談」は、もちろん怖さを疑似体験してスリルを楽しむ関わり方もあってのことですが、それ以上に、日常のタブーやしきたり、ある種のサベツも内包する社会の戒め装置としても機能してきたようです(『知れば恐ろしい日本人の風習』)。だから本気で怖がってくれないと意味が無い。だから「貞子VS伽椰子」というキャラになった時点でリングも呪怨も「怪談」としての「戒め」や「タブー」装置としては消費期限来ちゃいました。或いは、日本でも、アメリカ的なホラー映画の消費の仕方が定着したということかもしれません。他方で、キャラ化(=妖怪)というのは、生きている間、絶え間なく出てくる不可解で得体のしれない考えを、ユーモラスでかわいいもの・・・明るい場所で笑える無難なものに封じ込めたい、できればあんまり考えたくない、という、日本人の希求なのかも。

それに今はYouTubeの読み上げ怪談が充実しているので、テレビや映画で怪談を観なくてもいいのよ。「サベツの構造化」「男性恐怖」「ミソジニー」「潔癖症」「掟を守れ」「年上の言うことは聞け」などなど、現代日本でも、今なお怪談の中に、戒めや警告の機能が残存しているように思えます。ああパヨクって直ぐ日本の伝統文化否定するのよね、本当は天皇とか大好きなのに。だから嫌いよ! って言われるの。

さて本作、悪魔が出てこず、何が出てくるのか。それは外宇宙の何者かなのです。これがホラージャンルとしては珍しい。製作したスピルバーグは本作製作と同時に「E.T.」を監督しており、「郊外住宅地の平凡な家が外の世界と繋がる」という同じ物語の裏と表だったと言われています。スピルバーグは、一貫して恐怖を描いてきた映画監督ですが、キリスト教的な「悪魔」を描いたことはほとんどありません(「恐怖の館」くらいかな)。ユダヤ人だから?

ちなみに私の見たところ、90年代の「スクリーム」以降のホラー映画は、80年代までのホラーを「お約束」として解体してしまい、結果、超自然的なものは益々怖くなくなり、本当に怖いのは「今、ドアの前にいる人」となりました。その中で、超自然系のネタ不足に陥ったハリウッドが目をつけたものの一つが、「ザ・リング」に代表されるアジア系幽霊だったのでは。撮影技術が新しい風を吹き込む中で、ラテンアメリカや欧州・アジアの監督が続々ハリウッドでホラーを撮っています。それ以外にも80年代回帰的な流れ(「イット・フォローズ」「ターボキッド」「喰らう家」)、更には、ユニバーサルが古典的ゴシックホラーの怪物たちを全部甦らせて痴話げんか/仲直りするポストモダンコンテンツ市場に算入するそうです。さすがUSJやるだけのことはあるわね、あの会社。マーベルもの、DCものと戦争する気です。ユニバーサルの「ザ・マミー」DCの「ワンダーガール」に早速敗北したようですが、頑張れ! というわけでホラー映画方面も忘れないパヨクです。

 

執筆者・竹美

ほぼカムアウト状態の会社員。九州のパヨクな家庭に育ち、パヨク思想に染まっていることに無自覚なまま二十歳を迎え、周囲の同級生が順当に就職活動を開始した頃、全然やる気になれず焦って大学院へ逃亡。それが、「企業=金儲け=巨悪」だと信仰していたためだと自覚したのはその10年後。「思想転向」のリハビリ過程で、「真っ先に悪を告発する紅衛兵」の素養を小学生位のときに発揮して同級生にウザがられていた記憶もフラッシュバック。

このコーナーでは、映画を通じて「私やあなたというパヨク」の滑稽で哀しく、正しくて誤っている物語を発見していきたい。