二丁目寺の坊主日記 24

「死の解決法?(前編)」

アデイの月曜担当、本多清寛です。

今日は仏教じゃなくて僕の話。

先日の二丁目寺で、死についての疑問に答えられなくなって、お盆中も悶々としておりました。日記なので、その悶々を書いて見ようと思います。

死とは何か。断絶・消滅・虚無…..いろいろイメージはありますが、何かが終わってしまうことが「死」という言葉が持つ感覚のような気がします。宗教的には終わるだけではなく、始まりを意味することもありますし、肉体と精神を切り分けて、肉体の停止を死という場合もあります。

気になって、国語辞典で「死」の項目を引いてみると、『死ぬこと』って書いてありました。そっと辞書を閉じました。

じゃあ、医学的に「死」を考えてみるとどうだろうと調べてみると、昔は呼吸と心拍の停止、瞳孔の開きが死の定義でした。今は、脳死の問題が出てきて、人の死をどう定義するのかが難しくなっているみたいです。(詳しくご存知の方がいたら教えて下さい!)

辞書でも医学でも分かりません。というわけで、仏教でいう「死」を考えてみました。すると、お釈迦様的には今はそんなこと考えてないで怠けずにやんなさいって仰るでしょうし、阿弥陀様的には極楽に往生して修行が始まる瞬間が死ってことでしょうし、禅宗的にはこり固まってしまって修行を続けられない状態を死と呼ぶと思われます。どれもこれも頑張れってしか言ってないことに恐ろしさを感じます。とりあえず、死とは何かという疑問には全然答えてくれません。

誰も答えをくれないので、自分なりに自分が死ぬことについて考えてみました。まず、僕が死んだら保険金が下ります。家族がしばらく生きていける額が出るように保険を組みました。何故なら、僕が死ぬとお金を稼がなくなるからです(生きていても全く稼げていないのはナイショ)。つまり、僕にとって死とは、家族を生かす糧を生み出せない状態といえます。

あと、お葬式が行われると思います。僕が死んだら悲しんでくれる人が(恐らく)いるので、曹洞宗式の葬儀があるはずです。それから、副住職という役割を泰陽寺から与えられているので、お寺に埋葬されることになるでしょう。そうすると、僕にとって死とは、弔われることともいえます。

それと、僕にとっての死は恐怖です。子どもから離れるのも嫌だし、今やっていることが中途半端になるのも嫌だし、二丁目寺が空中分解するのも嫌です。読みたい本もあるし、見たい映画もあります。僕にとって死は途中退場のことともいえます。

などなど、考えていたら人生で初めて死にかけた時のことを思い出しました。

小学生の頃、浅瀬の海を一人でバシャバシャ歩いていました。なんで歩いていたのかはもう覚えていないんですが、夕暮れの海の向こうにある太陽がとても綺麗でした。そんなオレンジ色の浅瀬を歩いていると、いきなり海に落っこちたんです。遠くを見ながら歩いていたので、岩の間の穴を見落としていたのでした。その穴は小学生の足が届くようなものではなく、慌てた僕は海水をがぶ飲みし、息が出来なくなりました。溺れながら手足をがむしゃらに動かしました。それは助かろうとしてというより、それしか出来ることがなかったんです。それで足が岩にぶつかり、海から這い上がることが出来たのでした。

僕が死に触れた時に湧いてきたのは「○○できなくなるから死にたくない」という考えではなく、“ うわぁぁぁあああ ”という叫びでした。いきなり海に落っこちたのだから、当たり前なのかもしれないんですが、不意に訪れた死の恐怖は言葉にはならず、パニックになり、海から出れば助かったとしか考えられませんでした。

僕の場合、死を考えると嫌なことが思い浮かびましたが、死を感じるとパニックに陥いって何も考えられなくなるようです。みなさんの中には、死を感じるとわくわくする人もいるでしょうし、死を考えているとパニックに陥る人もいることだと思います。共通しているのは、死を間近にすると平常心ではいられなくなるという点ですよね。

ということは、平常心を保てるような日常があれば、死に打ち勝てるのでしょうか?

んー。悶々とします。

次回は、お盆で気が付いた「日常のこと」のことを書いて悶々としてみます。

南無。南無。南無。

本多清寛(しょうかん)和尚。(月曜担当)

1985年生まれ。熊本出身。お寺に生まれお寺に育つ。22歳の時、福井県の永平寺という山奥の修行寺で3年過ごす。修行仲間には相当な迷惑をかけ続けて山を下りる。その後、曹洞宗の研究センターにて仏教を学ぶ。同性婚の問題から、仏教と「性」について気になり、セクシュアリティについて勉強し始めた。生活に役立つ仏さまを模索している。趣味は「こんな時、お釈迦様ならなんて言う?」という大喜利。

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