【吉田秋生さんの作品と私】

 

真紀ママ / A Day In The Life の木曜担当。高知出身。重度の腐女子でありながら夫と、二児の子供を持つ母。
my favorite  『BANANA FISH』

BANANA FISHは私が高校生の頃に別冊少女コミックで連載が始まりました。その頃コテコテの少女漫画が好きだった私は、第1話を読んでその異色さにポカンとしましたが、ハードボイルド小説も好きだったので、たちまち夢中になり、続きを楽しみに待つようになりました。読み始めた最初の頃はまだ腐女子ではありませんでしたが、大学生になり腐女子となってからは、ますますBANANA FISHが好きになっていきました。何よりも、美しく賢く強いのに心に闇を抱える主人公アッシュの魅力が素晴らしく、私はいつもアッシュを総受けと思って読んでいました。それだけに、アッシュの育ての親で敵対するディノ・ゴルツィネの気持ちがよくわかるーと思いながら、殆どパパ・ディノに感情移入して読んでいました。他にも魅力的な登場人物が沢山出てきますが、特にアッシュの教育係だったブランカはお気に入りの攻めです。ラストもとても美しく切なくあれ以上はないと思える終わり方で、今も鮮明です。

 

椿さん / 精神科医。A Day In The Life の常連さん。
my favorite  『櫻の園』

女子高育ちの人だけがそう思うのか、そうでない誰にも普遍的にうったえるものなのか私にはよくわからないのですが、この作品はなんだか自分にとって特別なものに感じていました。高校生の時はまだ大人の作った枠組みのなかで生きるしかなく、自分たちのこの時期のこの思いは二度とこないことをどうしたらいいのかわからない状態でした。今よりずっと必死で苦しかったのに、読んで思い出すとなぜか甘い気持ちになるものです。吉田秋生さん自身は女子高育ちでなく、「想像で描いた」とおっしゃっていたのが不思議です。再現させるにはあまりに特殊で、大人とは異世界だと思うからです。それを結晶化させたような、この作品に巡り合えて良かったと思います。」

 

イトーちゃん / アデイonline のシステムを担当。現在、二十以上離れたボーイフレンドとラブラブ交際中!(画像・右がイトーちゃん、左が彼氏)
my favorite  『ラヴァーズ・キス』

「『ラヴァーズ・キス』は衝撃の作品でした。高校時代という心の揺れやすい年代でそれぞれ愛情の対象が複雑に交差する登場人物たち。愛情の対象が同性である組み合わせもあり、同じようにゲイである私にとって心を捕まれる作品です。登場人物達の悩みや心の動きに切なく共感するとともに作者である吉田さんのそれぞれの登場人物に対する慈愛も感じられ、当時同じように高校生だった私はエールをもらったような気がしました。愛情が絡み合っても爽やかでどの人物も愛おしい、私のイチオシの吉田作品です。」

 

前園進也 / 弁護士。最近、待望のお子さんも生まれて、人生、順風満帆。アデイ online には法律相談「進也先生の部屋」で登場!
my favorite  『海街diary』

「一番好きな作品は、『海街diary』です。その理由は、以下のとおりです。『海街diary』を読むきっかけは、「このマンガがすごい!2011」にこの作品がランキングされていたことだったと思います。もともと群像劇が好きなこともあって、すぐにハマりました。その当時、マンガは読んでも買っていなかった私が、つい単行本をかってしまうぐらい気に入りました。その当時の私は、マンガを含め書籍は場所をとるので、できるだけ買わず、マンガは漫画喫茶やネットカフェでしか読んでいませんでした。しかし、『海街diary』については、その禁を破り、購入するぐらい好きな作品です。私は小説やマンガを小さいころからよく読んでいました。若いころは、長編ものを好んで読んでいました。しかし、歳を重ねると、長編小説よりも、人生の断片を切り取るような短編小説へと好みが変わっていきました。『海街diary』は長編マンガですが、連作短編集のような趣があるので好きなのかもしれません。」

 

冨田格 / A Day In The Life の火曜「いたるの部屋」を営業。長くゲイ雑誌「ジーメン」の編集者を務め、現在はフリーのライターとして様々なメディアで活躍。
my favorite  『ラヴァーズ・キス』

「僕にとっては、ずっと新作を追いかけている唯一の漫画家が吉田秋生さんです。常に最新作(今は「海街Diary」)が一番のお気に入りではあるのですが、「海街diary」が好きだからこそ忘れられないのが『ラヴァーズ・キス』です。海街diary」と同じ街が舞台であり、次女・佳乃が好きになった実は高校生の藤井朋章を中心に展開されるこの『ラヴァーズ・キス』は3つの短編のオムニバス。各章のタイトルが「boy meets girl」「boy meets boy」「girl meets girl」となっており、ストレート、ゲイ、レズビアンの恋愛が描かれる今風に言うならばダイバーシティ&インクルージョンな作品なのです。もちろん著者にはそんな代理店的な狙いや気負いなどあるはずもなく、淡々とそれぞれの想いが描かれていて、そこが面白くて切ないのです。そう、切ないのです、この作品。若い日の一方通行な想いが連続して描かれるのです。初恋みたいなものは、普通、成就なんかしないでしょ? 今やしぶとい熟練のゲイ親父の僕にだって、叶わぬ想いに胸を熱くした若き日はありました。何度読み返しても、そんな学生時代の片想いの日が蘇ってくる『ラヴァーズ・キス』。これからも何回も読み返すことでしょう。ちなみに、第2章に登場する緒方篤志は湘南オクトパスの緒方将志の兄、第3章に登場する尾崎美樹は、すずの彼氏・尾崎風太の姉です。」

 

わかなさん / エステシャン。A Day I the Life の常連さん。アデイonline の「BEAUTY BEAR」にも登場。
my favorite  『カリフォルニア物語』

「『カリフォルニア物語』。ベースになる家庭が不安定だと、他者への基本的な信頼感が欠如したまま成長するから愛情をうまく受け取ることができない。親切にしてもらうことを知らない煙草1本で喜ぶイーヴの死、コンプレックスや葛藤、自立しようと必死に生きる登場人物たち、見知らぬ土地で出会う人々のあたたかさ(「理解しているわけじゃないですよ。理解しようとしているだけです」)。程度の差こそあれ、自分と重ねて読まないわけにはいかない。
全ての人にそれぞれの悩みがあり、何気ない言葉が人を傷つけ、自分も傷ついたりもするけれど、自分の言葉が望外に誰かを励まし支えていることがある。愛し合っていても一方通行で終わることもあるが、もう会えない人の言葉が心の基軸になることもある。私にとっての『カリフォルニア物語』は、人はわかり合えるという理想論ではなく、分かりあえなさのなかで他者と自分を分かろうとする折り合いと内省力を培わせてくれた、大切な人達との日々を振り返らせてくれた作品です。」

 

枡野浩一 / 歌人。アデイonline で【二丁目の一夜の一首】を連載中。

my favorite  河よりも長くゆるやかに』

姉がいる
弟である
僕ですが
ああいう姉が
欲しかったです

 

*小学館「月刊フラワーズ」の彦坂編集長はじめ、”吉田組”の方々のご協力に心より感謝申し上げます!