二丁目寺の坊主日記 33

「アデイ、ポルターガイスト問題?」

アデイの月曜担当、本多清寛です。

弔いについての話をアデイ・ラジオで話させていただきました。その中で、営業中にノックする音が聞こえたのに誰もいなかったという話が出てきて、僕はやっぱりそうかと思っていました。

http://aday.online/podcast/

ラジオでも述べたことなんですが、伏見さんは頼られやすそうというイメージがあって、生死問わずに来る人は来ちゃうだろうなって思ってたんです。何をしにきたのか分からない幽霊だと考えると恐ろしい話なんが、頼って来たけど恥ずかしくて顔出しできない人と考えたらそんなに怖くない気がします。

とはいうものの、本場のポルターガイストはそんな悠長なことを言ってられません。食器や家具が飛び交うのはもちろん、時には人が飛んだりするらしいです。そういった荒ぶるゴーストを退治するのは、ゴーストバスターズかエクソシストですね。映画見ました。

実は仏教にも、仏教呪術と呼ばれるエクソシストが行う悪魔払いに似たものがあります。日本でも悪霊を拳骨で黙らせる禅僧の話や、お祓いをするお坊さんの話はかなりあります。古典的な仏教を奉ずるタイ王国でも、そんな話がたくさんあります。

タイで有名な悪霊といえば、ナーンナークという女性の霊。村人に呪いをかけ、どんどん殺し回ったとんでもない悪霊なのですが、元はお産中に亡くなった方でした。戦争で徴兵された夫を待ちながら、失意の中で産褥死をしてしまいます。しかし、その夫が帰って来ると、なぜか家に妻と子どもが居たのでした。村人たちは、妻であるナークが死んでしまっていることを伝えようとしますが、夫は全く信じません。ナークは自分たちの家庭を脅かす村人を呪い始めます。

名うての霊能者や呪術師が死力を尽くすものの、全く効果がなかったそうです。途中で気が付いた夫も、悪霊となった妻を止めることはできませんでした。そんな時に現れたのが、バンコクからやってきた高僧です。この僧侶がナークを説得し、村人に危害を加えないように調伏したのです。

この話、タイ人ならほとんど知っています。僕が興味深いと思ったのは、悪霊を説得して『無害化』するところです。ゴーストをバスターすると、そのゴーストは跡形もなく消え去ってしまいますが、無害化した悪霊には超常的な力だけが残ります。

日本でも、菅原道真公や崇徳天皇といった、日本史上最強の悪霊とされる御方たちにも、その力を無害化するために建立された神社があります。その神社は時を経てご利益のある場所になりました。ナーンナークの霊もマハープット寺というところに奉られており、安産祈願や宝くじの当選祈願のお寺として、タイでも有数のご利益が得られるパワースポットになっています。

ポルターガイスト問題は、その存在と仲良くなれるか否かにで結果が変わってきます。もし、暴れっぷりが酷ければ離れた方がいいですが、何もなければそのままでも問題なし。生きてる人間の付き合いと変わりません。

もし、二丁目寺に「コンコン」と音がしたら、知人から友人になれたらいいなぁ。生死問わずに。

南無三世諸仏

 

本多清寛(しょうかん)和尚。(月曜担当)

1985年生まれ。熊本出身。お寺に生まれお寺に育つ。22歳の時、福井県の永平寺という山奥の修行寺で3年過ごす。修行仲間には相当な迷惑をかけ続けて山を下りる。その後、曹洞宗の研究センターにて仏教を学ぶ。同性婚の問題から、仏教と「性」について気になり、セクシュアリティについて勉強し始めた。生活に役立つ仏さまを模索している。趣味は「こんな時、お釈迦様ならなんて言う?」という大喜利。
FB:https://www.facebook.com/shokanhonda
twtter:@shokanhonda    http://s-labo.org/ ←ここで記事を書いてます。