あっきー★らっきー水曜日 12

ウサギ年の来歴

「ウサギ年生れなんでー、寂しいと死んじゃうんですぅー!」

 卯年に生まれた人は、なにか特別な権利を得たように、こんな発言をしていたような気がします。「私って意外と寂しがりなんですよー」という繊細さのアピールか、「もっと遊びに連れてってくださいよー」という交友関係の貪欲さの宣言か、その成分の程はよくうかがえません。対する正しいリアクションは、「わかるわかる!」と言えばいいのだろうか? それとも、「全然みえなーい!」がいいのか? 言い放たれた身としても、その正解を当てるために、余計な面倒を被ったはずです。

 でも、それを今こうやって懐かく思い返しているところでして、最近はこの「寂しいから死んじゃいます!」という因果関係がまるでわからない発表をする場面は、少なくなったように思います。社交辞令という程度に、会話の潤滑油くらいに受け流してもらえればいいのですが、考えれば考えるほど、まったくもって意味が不明。言った側としても、「それで死んだ奴、どっかにいんのかよ」とか、「寂しいとか言ってるタマじゃないだろ」という無言のツッコミに、身が縮こまる思いをしたんです。

 ……あ、すみません。僕も昭和50年生れ、その卯年生れでした。

 ここのところ、同い年と会う機会が多くあります。よく見えるお客様や、古巣の会社の同期や、地元の友達や……。いきなりその辺から沸いて出てきたことはなく、みんなどこかで生きていたわけですが(そりゃあそう)、なぜか重なるこの機会に、特別な縁のようなものを感じています。そして、ほのかに温かいものが胸に灯るのを感じています。それは、これまで味わったことのない経験としての感慨なんです。

 小学生の頃、まだCDもなかった時代に、僕は図書館でレコードを借りていました。カセットにダビングしてヘビーに聴いていたのが、マドンナの「True Blue」。秀曲揃いに熱狂するだけでなく、のけぞった横顔のジャケット写真が大好きで、わざわざ父親のカメラで撮影して飾っていました。同じ頃、渡辺美里の「Lovin’ you」も横顔の写真がカッコいいんですが、こちらは従姉がダビングしたテープを借り、夏休みに滞在した祖母の家でずっと聴いていました。中学生になり、TM NETWORK「Seven Days War」を全校の集会で合唱し、放送部が朝に流すジャネット・ジャクソン「Come Back To Me」を聴いてうっとりし、卒業時のクラス会で早見優「ハートは戻らない」を振り付きで踊り……。あ、これを読んでいる方々のある「ご指摘」の声が聞こえてくるようでが、もう少し続けさせてください!

 高校あたりからライブに行くことを覚え、渡辺美里の夏の西武球場ライブには、毎年の恒例として通います。新宿コマ劇場の早見優主演ミュージカル「オズの魔法使い」にも、毎年。大学では友達も増えて、授業後にみんなでティップネスに通っていました。二丁目界隈では、MAXやDA PUMP、また小室サウンドなどを歌いつつ自堕落な日々を過ごし、SPEEDの「My Graduation」と同時に学生を「卒業」します。女子プロレスの観戦にもよく出かけ、出版社に入ってからは、全女やGAEA JAPANの取材記事を作っていました。

 つまりこれ、ゲイのたしなみ、おそらくはそのど真ん中です。しかも、年式が昭和! 幸か不幸か、「優とか明菜とか、そんなんが好き」ということに何の疑いも、もちろん違和感もなしに現在に至りました。しかし、改めてこう列挙してみると、幼い頃からその「因子」がそこかしこに埋まっていたわけで……。

 こういった因子は、誰かと合わせ鏡のようにして、「ほらやっぱり!」と点と点が繋がるようで、ひっそりとあった感情も誰かと共有することで増幅していくのが感じられます。お店でも、同年代のあるあるトークが沸き起こることがありますが、これが何ていうか、ものすごく楽しい! たぶん、それなりに年を取ったウサギなんで、こんな気分になるんすかね? バーの役割もまたひとつ発見したようで、「あったかい冬にしたい」などとと思っております。

 

あっきー(水曜担当)

【プロフィール】 1975年埼玉生れ。
出版社に16年間勤務し漫画や小説などの編集に携わったのち、
なし崩し的にフリーに。
NPO法人「企画のたまご屋さん」では、出版プロデューサーを務める。

https://twitter.com/shiruga_man