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女性賛美映画≒フェミニスト…
~「エイリアン2」(”Aliens”、1986年、アメリカ)~

ハリウッドを代表する女性賛美映画監督、ジェームズ・キャメロンさんの映画には、驚くほど巨大破壊シーンが出てくる。原爆、でかい氷山、大量破壊兵器などでどっかーん!がほぼ全ての彼の映画に出てくる。彼がミリタリーオタクだというのはよく言われているが、私は、彼の映画が①倫理的な傾向があり、②女性賛美の具合がハンパ無く、③銃器振り回して最後ドッカーン、が同居するって、パヨク的に考えたらおかしいのよね。でもそれって私の「倫理的+フェミニスト?=戦争反対のはず!」という思い込みのせいだろう。また、彼は「強いアメリカ」を代表するような作品を連発しながらも、アメリカ万歳映画とは言い切れない感じになっていて、「アバター」に至っては米軍批判だとまで言われちゃった(多分、興味ねえんだな)。

今回は「エイリアン2」について考えつつ、キャメロン監督の世界を覗き見してみましょう。

「エイリアン」シリーズは、作品ごとに監督が変わり、作風も毎回前の作品を斬新に書き換える手法で30年以上続いて参りました。「2」は、前回の事件から57年後、猫をお腹に載せてスヤスヤ寝たまま宇宙を放浪していたシガニー、叩き起こされて色々批難された挙句、「あの星に移住した開拓団の連絡が切れた」という知らせ。嫌々ながらもトラウマと決別するため、シガニーは宇宙海兵隊と共にその星に向かう。今度は戦争だ!

本作、「職場で戦う母親」の敵は別の集団の母親っていう「男はすっこんでな!」映画。女の描き方がミソジニーになりえないのがとても面白い。女王エイリアンと家来の関係と、シガニーと兵隊の関係は平行なのだと思うとコメディに見えてくるし、それ作ってるジムキャメの心境考えたら性的な感じもしてくる。

シガニーは本作で名台詞をいくつも残している。タバコふかしながら最凶セリフ「軌道上から核攻撃するのよ」、おろおろする兵隊のボスに対して「何とかしなさいよ!!!」の叱咤+大胆な行動で見事に職場の危機を打開、人的被害を最小限に食い止める。そして世界のオネエが憧れる「その子から離れなさい!ビッチ!!!来い!!!!」。シガニーの「ちょっとエラそう」な存在感で全てのシーンがキマる。冒頭で宇宙船会社から批難浴びまくっているシーンですらエラそう。彼女が絵的に勝っている。戦いのときも、歯ぁ食いしばりの表情が真剣過ぎて、ちょっと頬がぷるぷるっと震えている。エイリアン女王と対決するシーンって、撮影現場考えたらロボットに対してあの演技でしょう?すごい人ね。

本作、ひっくり返して見るとキャメ監督の超大作「アバター」の物語を逆から見たお話しになっている…つまりは、エイリアン側から見たら、突然餌が侵入してきたから晩餐会をやりましょう、と思ってたら、最後核攻撃されちゃったわ、嫌ぁねぇ人間って…っていうね。他者としてのエイリアンは30年後、ナヴィ族になり、表情を持つお話ができる相手になった。「アバター」のシガニーは、「愛は霧のかなたに」経由でナヴィに肩入れする存在になる。昨今の「猿の惑星のイケメン化現象」の先取りなのかもしれない。映像技術の発展は、私達の観たいもの(一方的に提示されるもの)も知らないうちに変えていくのではあるまいか。キャメのお気に入り、「強い戦う女」が男より強いっていうモチーフは「アバター」でも健在よ!族長も女! それに付き従う男共も強いが、所詮は女性賛美の背景に過ぎないからCGで合成だ! 「エイリアン2」では強い兵士の男女の友情が印象的ね。女捨ててるからな、という揶揄も読めなくはないが、それ以上に、男性優位のあんな世界で女だからってバカにしないし特別扱いもしないマッチョ男という姿を入れたのが面白い。同じような強い男女の友情が「ハンニバル」原作小説に出てくるが、性の侵入によって友情が破たんする描写が入っていたのと大違い。

でも、違う見方をしたら、「戦争」状況が実力優先の仕組みを作り、連鎖的に社会的平等が進むという皮肉さもある。最近観た「ドリーム」という映画も、冷戦という状況下でこそ、優秀なら黒人女性だって上に行けるんだという物語になっていた。それはパヨク的な人が喜ぶべき「平等の実現」物語なのかどうか。

そうね、本作「今度は戦争だ!」なんだから、兵士が重要よ。口数少なく頼れる兵士ヒックス役に、マイケル・ビーン様…この方は裸体晒してサラ・コナー守った「ターミネーター」で私に男教えてくれた貴重な存在。しかしながら今見ると、彼のガタイは現在のアメコミヒーロー映画に出る人たちよりずっとひ弱に見える。シュワルツェネッガーやエイリアンに楽勝しそうではだめだったんだろう。この手の役者は作品中での死亡率が高く、80年代厨二SFの主役としてはドンピシャ。記憶消された元工作員役な「タイムボンバー」とか。それを淀川長治さんが紹介し、あたしがこっそり親に隠れてテレビで見てドキドキしてたっていうね…淀川さん好きする映画に出る俳優だったのだろう、彼主演の他のB級映画「アステロイド」も紹介なさってて、もちろん私は見た(吹き替えは田中秀幸様ああん)。それ故に俳優としては惜しい。あの手のSF美形は、似たようなのやりながら美貌が損なわれて来るとイカれた悪役をやって、後年自分でホラー映画作ったりする。「スターウォーズ」のマークハミルさんも何だか似てる。マークハミルさんの場合は、1990年代には日本の漫画「ガイバー」実写版で虫に変化したりしてた。でも「スターウォーズ」がディズニー様の呪いで永遠に終われなくなったせいで、今になっていい味出せる場面が出てきたみたい。

さて、「エイリアン2」ではヒックスとシガニーの間に友情が芽生えるのだが、それ以上どうなるかは不明のまま。それによって、ヒロインが男性と同等に仕事やれるんだよと示しちゃった(私は偶然だと思う)。

女性への手放しの賛美は必ずしもフェミニズムではない。理想化だから。キャメ監督はそういう描き方を無意識にやっているように見えて面白い。ポリコレ意識なんか全然無かった80年代半ばに作られて、今見てもあんまり人を怒らせない長生きコンテンツ「エイリアン2」は、「オタクの男性」の作った映画の方がポリコレ淘汰において強みを見せるということではないかと見ている。要は、ここまで来たら、変に下半身のことに口出ししない映画が無難だと思うの! 私の適当予想、次回のオスカーではLGBT 配慮(「Call me by your name」)VSオタク(ギジェルモ・デル・トロ様「The shape of Water」)の一騎打ちになり、オタクが勝利する!(絶対外れる)


執筆者・竹美

ほぼカムアウト状態の会社員。九州のパヨクな家庭に育ち、パヨク思想に染まっていることに無自覚なまま二十歳を迎え、周囲の同級生が順当に就職活動を開始した頃、全然やる気になれず焦って大学院へ逃亡。それが、「企業=金儲け=巨悪」だと信仰していたためだと自覚したのはその10年後。「思想転向」のリハビリ過程で、「真っ先に悪を告発する紅衛兵」の素養を小学生位のときに発揮して同級生にウザがられていた記憶もフラッシュバック。

このコーナーでは、映画を通じて「私やあなたというパヨク」の滑稽で哀しく、正しくて誤っている物語を発見していきたい。