パヨクのための映画批評  40

カルト映画の女王、参上
~「追憶」(”The way we were”、2016年、日本)~

地味に周囲で話題沸騰していた本作、遂に観ましたよ~バーブラ・ストライザンド様の映画「追憶」。圧力凄すぎて、観終わった後、顔に跡が残りそう。豊田真由子さんを髣髴とさせる強い顔、声は小原乃梨子だし、歌は、上手いっていう言葉では褒めたことにならない境地(セリーヌ・ディオンとデュエットした「Tell him」のビデオが震えあがる程怖い)。

ストーリーは多分何かの冗談なので割愛します。「ブリジット・ジョーンズの日記」のレニー・ゼルウィガーからラブコメを意識して見始めた私としては、これはもうコメディかカルト映画なんだと思ってしまう。「ハリケーンビアンカ」ってアメリカの女装を主人公にした映画(残念ながら未見)の方がジャンル的に近いのではあるまいか。

冒頭のシーン、椅子に座ったまま居眠りしてるロバフォーの顔にバーブラが触れるとこ、まず「血迷ったか!!!」と心配になった。もちろん、その直後に「不思議の国の妖精バーブラが人間の世界で血迷ったファンタジーアドベンチャー映画…のではないのよ~昔からの因縁があったのよ~」と続く。ほっとしました…ほっとしたよ本当に。王子様のようにハンサムなロバート・レッドフォードと再会した夜に、さっそく家に誘い(うちでコーヒー飲まない?)、酔ったついでに抱かれかけるケイティの「ワンチャンありでした!」感がすごい。このシーンのバーブラ、下から撮ったショットが多いんだけど本当に美しいの。なのに、行為の途中で寝ちゃったロバフォーに対し、「私だと思ってないのね…」が切ねえ。

でもさ、翌朝(家の壁にスターリンいましたけど)、彼の服をアイロンがけして豪華な食事まで作って、健気なのに(同じドレスを後のシーンでも着用)、ロバフォーは素っ気ない。乱暴すぎる愛。バーブラには全てをバーブラにしてしまう凶暴性があるので、パヨク運動にはうってつけの素質だと思う。「サベツはんたーい!」をよりによってバーブラで再生するため、うっとおしさが何十倍にもなっている。パヨクにとどめ刺しかねない映画ですね。

ロバフォーに「私は魅力あるかしら?」とか聞いちゃうとこが切ない。しかもあんたを振ろうとしてるタイミングで。そして直ぐに「私はあると思うの」ですから。結局ゴリ押しのバーブラに優柔不断男のロバフォーは負ける。全てのシーンのセリフがバーブラの独り言っぽい。そこが好き。セリフが無いシーンですら、ケイティの頭の中で壮大なシナリオが展開してるのが見えるの(多分、オネエには見えるんだ…びゅおおおお)。

大学生時代のバーブラの演説がすごかった~パヨクパヨクな意地悪にも負けない。どうでもいいが、一番前列で拍手してた、フランキーの二人隣にいた男子、あれ絶対ゲイだね。

あと、人と人の間には、決して開けてはいけない扉というもの(節度)があるのに、相手を傷つけるようなことをバンバンぶつけて男に嫌われるシーンとか激痛。両国の路上で彼氏と痴話喧嘩した日を思い出して胸が痛んだ。その不器用さが憎たらしくて愛おしくて苦しかった。そうそう、そうなるよね~我ら闇の種族はさ…って。

ケイティの方向性を純化すると、そこにはヘドヴィクやちあきなおみが待ってる気がする。週末の新宿二丁目午前2時に流れる歌謡曲のカラオケみたいな佇まいに至りそう。この時のバーブラはまだそこまで達してはいない。

んで、共演する女達が霞む。彼女らの方がきっと美形なのだが、残る印象は「やな女達ね!」だけ。そう、あの映画、副作用でミソジニー生みそうなの。ケイティ、お友達が一人もいないんだね…一緒にチラシ配りしてるパヨク女性とか、最後の方に出るローズ(ロバフォーに「Dyke」と陰口言われちまう)とか感じよかったから、もっと出るのかと思ったら直ぐ消えるしね。

ところでさ、バーブラ、王子様と一緒にいられた時間が短すぎないか。何かさー、ロバフォーって結構なワルだと思う。当時のメイクアップ技術の問題とも思うが、大学生から40代後半までやってたけど、髪の毛がちょっと変わっただけだったよね!ニット愛用するし。このタイプは危ない。元カノと浮気する気になってる時のロバフォー、サングラスかよ!!!やっぱね、この人根っからのダメ男の匂いがすんのよ。同じ、シルバーフォックス系なジョージクルーニーだったらまた違うの。ロバフォーは…自分に酔ってそうなので、少しホラー感じる。

しかし母親になったバーブラは強かった!ミドルネームXな男と結婚してるしな!!!そして「ドリームガールズ」のジェニファー・ハドソンと同じ髪型に戻ってたし、実際、観てる間中ジェニファー・ハドソン=エフィだと思ってたわ。

アカ狩りのこと、結構露骨に描いてるね。ハリウッド批判までしちゃって。時代が二十年ずれてるからのスケープゴートな描き方だが、当時は、公民権運動があり、ストーンウォール事件あり、女性がブラジャー燃やし、ドラッグの蔓延も始まっていた。禁欲的であるべきという中産階級の幻想は木っ端微塵に破壊されてた時代。映画「ビッグアイズ」で描かれたように、「本当の芸術」は消え去り、ポップカルチャーという名の元に成金階層が「ゲージュツ」を消費する廃墟。同じ年には「エクソシスト」。そんな時代に、第二次大戦中をノスタルジックに背景化させ、赤狩り時代を告発させたことで、同時代的なものから目を逸らしちゃってる映画。きっと後年誰も思い出さない映画になるはずだった本作、最終兵器バーブラ様を動員したことで時空を超えたオネエ・カルト映画となった。日本映画には「疑惑」「Wの悲劇」「吉原炎上」があるが、太平洋の向こう側にはジュディ・ガーランド、バーブラ、シェールがいるのだ。

 

執筆者・竹美

ほぼカムアウト状態の会社員。九州のパヨクな家庭に育ち、パヨク思想に染まっていることに無自覚なまま二十歳を迎え、周囲の同級生が順当に就職活動を開始した頃、全然やる気になれず焦って大学院へ逃亡。それが、「企業=金儲け=巨悪」だと信仰していたためだと自覚したのはその10年後。「思想転向」のリハビリ過程で、「真っ先に悪を告発する紅衛兵」の素養を小学生位のときに発揮して同級生にウザがられていた記憶もフラッシュバック。

このコーナーでは、映画を通じて「私やあなたというパヨク」の滑稽で哀しく、正しくて誤っている物語を発見していきたい。