熊なら何でもいいってわけじゃないんだよ
~「パディントン2」(”Paddington 2”、2017年、イギリス・フランス)~

以前「好きにならずにいられない」ででぶ革命について考えました。体形は私の好きな男性のファンタジーにほとんど関係ないのですが、好きっぽい感じの男性は大概少し太目、気が付けば熊めいた男性の写真を凝視しています。私の男性ファンタジーの分裂は私の性格の通り奔放で、ハタミ大統領みたいな優しそうな初老男性(ヒゲ必須・頭髪は拘らず)か、バグダディ容疑者とかワインスタイン容疑者とか、「バーフバリ2」の蛮族のリーダー役の人とか、山口容疑者とか、そういう「容疑者系」と呼んでいる悪辣な顔立ちの系統のどちらかが好きなの。恐らくいつか、両系統に共通する何かを発見すると思うわ。その時また新しい扉が開いてしまうゴゴゴゴゴ…さて、今回は、ワイルドさとかわいさ(とエロさ)を兼ね備えた太目生物、熊様を称える映画、「パディントン2」を紹介するわよ。ファミリー向けだから、エロは無しだけど。

ペルーの山奥からロンドンに出てきて、ブラウン一家の家に居候をしている小熊のパディントン。パディントンはペルーにいるルーシーおばのために、ロンドンの名所を描いた飛びだす絵本を買おうと考えるが、泥棒に盗まれてしまう。その上、パディントンが犯人と疑われ逮捕されてしまう…

パディントンは妙に真面目な人物で、常に紳士的に振る舞おうとするものの、何かが少しずれているため、何かをやると必ず大騒ぎになる。実際にこういう熊男性と付き合ったら本当に大変だろうけど、でもかわいいから許しそう。昨今の映像技術の発展により、熊っつったら本当に熊のパディントンなのよ。でもそこにかわいさを入れ込むなんて(∩´∀`∩)❤

パディは常に紳士なのだけど、言うべきことは言うっていう人(熊)なので、牢屋に入った後、さっそく、飯がまずいんだがねえということを料理係に訴える。この料理係のナックルズさん(ブレンダン・グリーソン)がまた…見事に、私の言うところの容疑者系なのよ。暴れ者で、パディの文句に怒りだしたところでパディ自作のマーマレードを口にして、余りの美味しさに、ミスター味っ子で何か食わされた人みたいな表情するの。一服盛られたな。一体どうやってマーマレード持ち込んだんだよと思わなくもないが、いいの、漫画だから! 頑張るから(重信房子さん逮捕)! おまけに、その前の日に洗濯係のパディは白い囚人服と赤い色物を一緒に洗ったせいで全員ピンクの囚人服になっているので、コワモテでお茶目で屈強な男性が好きな人にはめまいしそうな場面が続くよ。

悪役ヒュー・グラントさんの壊れぶり、今一歩という感じがしなくもないけれど、嫌な元人気俳優を楽しそうに演じているわ。ラストはねえ、これはゲイ以外誰が喜ぶんだろうか…多分ゲイでヒュー・グラントファン(特に現在の)は少ないと思われるので…「悪辣熊系男性はお茶目である」という幻想によって辛うじて毎日を生き延びているゲイの皆が泣いて喜ぶスペシャルシーンが待ってるから、エンドロールになっても停止ボタン押しちゃだめよ。

あんまり画面に出てこないけど、私好みの囚人T-ボーンが気になってしょうがなかった。もっと画面に出せ! ああやっぱり私はこういう男が好きなんだ…そしてもう俳優の名前まで見つけちゃったわよ(トム・デイビスさん、あたしから逃げられると思うなドロドロドロドロ…)。

牢屋のシーンでパディが泣かせるんだわ。ブラウン一家が面会に来るのを1日だけ忘れた時ね。「お前も忘れられちまうんだ」と先輩囚人たちに言われ、一人ベッドの上で涙する。夢の中で、パディは故郷のジャングルに戻り、ルーシーおばの元に走って帰るという幻想を観るの。このシーン泣いた。「自由を奪われる」ということは、それだけで一つの罰よね。パディの場合は冤罪だけど、「見捨てられた」という想いは人を蝕むんだと。

本作、今らしく、移民排斥に対する反発という風にパディントンの物語を読むこともできるらしいんだけど…ロンドンの街にも、牢屋にも、既に色々な人種の人が一緒に住んでいて、それについて市民がどうとも思っていなそうなロンドンにおいて、出自の多様性というのは彼らにとって既に織り込み済みのように見える。EUを脱出するイギリスであってさえ。イギリス人は、社会や物事の仕組みは絶対だとは思っておらず、少しずつ時代に合わせ、色々な角度から見直してメンテナンスし続けるという習性があるそうよ(笠信太郎『ものの見方について』)。そのような思考法が勢力を保てる限り、イギリスの社会は落ち着きを失くさないと思う。他者である熊を追い出せと主張する人をむしろ町の嫌われ者で気の毒な少数派として描いている。それに対して「パディントンが騒ぎを起こすことで皆の心がほぐされるんだ」という福利厚生面の効用を訴えるシーンは、二重の意味があった。「サベツはんたーい」言説のプラグマティックな戦略としても、人と人(熊だが)との連帯の表現としても。「パレードへようこそ」に通じるイギリス映画のよさが感じられたわ。

とは言っても結局男メインで鑑賞してしまった感は否めない。前に友達が的確なことを言った:竹ちゃんの好きな映画ってタイプの男が出てる映画じゃん。

…正体を見破られた妖魔は、1000年間山の洞穴に姿を隠さねばならないのよゴゴゴゴゴゴ…よくも…

今年のベスト映画「バーフバリ」は言うに及ばず、2017年のベスト映画「皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」」も、ぐっちゃぐっちゃモツァレラチーズ食ってたヒゲ男ヴィンチェンツォとか、女ボスのために車運転したり火炎放射器持って来るヒゲおじさんが気になっていた。第1回目(!!この映画にも悪辣顔のジジィが出てた…)から1年過ぎようとしていますが、今年も悪辣な野郎が活躍する映画を観ていくつもり。でもね、実生活ではちょっと注意が必要よ。私、悪辣に見える顔立ちの男性に無意識に惹き付けられていたんだけどね…本当に偶然だけど…付き合ってた人が逮捕されてしまったの…変な形で願いが叶ったわね、竹美。その人の見た目も少し悪そうでぽっちゃりで、本作の牢屋のシーンで脇役に出てたらかわいかっただろうな…ゴゴゴゴゴゴ…みんな、言霊って本当にあるからね…本当にそうなるから、口は災いの元だから注意してね…竹美からの祈りにも似た思いよ。

 

執筆者・竹美

ほぼカムアウト状態の会社員。九州のパヨクな家庭に育ち、パヨク思想に染まっていることに無自覚なまま二十歳を迎え、周囲の同級生が順当に就職活動を開始した頃、全然やる気になれず焦って大学院へ逃亡。それが、「企業=金儲け=巨悪」だと信仰していたためだと自覚したのはその10年後。「思想転向」のリハビリ過程で、「真っ先に悪を告発する紅衛兵」の素養を小学生位のときに発揮して同級生にウザがられていた記憶もフラッシュバック。

このコーナーでは、映画を通じて「私やあなたというパヨク」の滑稽で哀しく、正しくて誤っている物語を発見していきたい。