『2017年2丁目流行語大賞』で振り返る、
インターネットL〈G〉BT界隈この1年 (後篇:大賞ノミネート一挙紹介)

太陽(ネットウォッチャー)

もう4月なのですが… 皆様、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。……もう4月ですね……桜も散りましたね(小声)。今年の元日にご紹介しました流行語大賞の続きを(ようやく)お届けいたします。

『2017年2丁目流行語大賞』で振り返る、インターネットL〈G〉BT界隈この1年 [前篇:1年のできごと総ざらい] (太陽、『アデイonline』2018年1月1日) http://aday.online/2018/01/01/journal-5/

 

2017年二丁目流行語大賞ノミネート紹介

・映画『ムーンライト』(2月)
『ムーンライト』は、タレル・アルヴィン・マクレイニー氏の半自伝的な戯曲「In Moonlight Black Boys Look Blue」を原案とした作品で、バリー・ジェンキンス監督の手によりに映画化された。 主人公シャロンの成長を「リトル(小学校時代)」「シャロン(高校時代)」「ブラック(大人)」と3つの時代で描く。シャロンは内気な性格で、学校ではいじめられっ子の標的にされていた。心の拠り所は、コカインの売人であるファンと、同級生のケヴィンだけである。高校生になっても何も変わらない日常を送っていたが、ある夜、シャロンはケヴィンが裏庭で女性とセックスをしている夢を見る。別の夜、ケヴィンはシャロンを訪ねて、彼の家近くにあるビーチを訪れる。月明かりの下でマリファナを吸いつつ、ふたりは人生の野望を語り合う。麻薬で酔った後、ふたりはキスを交わし、お互いの肉体を知ることになる…。 人種差別、貧困問題、いじめ、ドラッグや同性愛など、さまざまな側面が描かれたこの作品は、日本では2017年3月31日に公開された。また、2017年2月26日(米国現地時間)に開催された第89回アカデミー賞において、「作品賞」「脚色賞」「助演男優賞」の3部門を受賞した。LGBTを扱った作品では、史上初めての作品賞受賞となった。

映画『ムーンライト』公式サイト http://moonlight-movie.jp/

 

・なくそう!SOGIハラ(3月)
「SOGIハラ(ソジハラ)」とは、自身が好きになる人の性別(=性的指向:Sexual Orientation)や自身がどの性別かという認識(=性自認:Gender Identity)に対して、差別的な言動や嘲笑、いじめや暴力、アウティングなどの「精神的・肉体的な嫌がらせを受けること」、もしくは、望まない性別で学校生活を送ったり、職場での強制的な異動・解雇・採用拒否などをされたりするなど、「社会生活上の不利益を被ること」全般を指す造語である。 これらの悲惨的なハラスメントから守るために、2017年3月に、LGBT法連合会、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめとする各団体と、杉山文野、増原裕子、東小雪、柳沢正和、松中権をはじめとする有志諸氏によって「「なくそう!SOGIハラ」実行委員会」が組織された。

「なくそう!SOGIハラ」ウェブサイト ●なくそう!SOGIハラ http://sogihara.com/

 

・ゲイカップル里親認定(4月)
「里親制度」とは、親の不在や死別、虐待などにより家庭で暮らせない子供を、希望した世帯が預かり家庭環境下で育てる制度である。里親制度には「養育里親(・専門里親)」「養子縁組里親」「親族里親」の3種類があり、2016年度末の時点で4973人の子供が里親の下で育てられている。 2017年4月2日、大阪市に住む30代と40代の男性同士のカップルを「養育里親」に認定したことが判明した。カップルは児童相談所による調査や研修等を経て、2月より10代の男の子1人の養育を始めている。同性カップルの養育里親認定は全国で初めての事例となる。

●男性カップルを大阪市が里親認定 全国で初めて (『HuffPost News』2017年4月5日) http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/05/story_n_15838196.html
●男性カップルを里親認定 全国初、10代男の子預かる 大阪市 (『産経新聞』2017年4月6日) http://www.sankei.com/life/news/170406/lif1704060003-n1.html
●第79話 子どもを育てる同性カップルたち (永易至文「虹色百話~性的マイノリティーへの招待」、『YOMIURI ONLINE(yomiDr.)』2017年4月25日) https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170421-OYTET50027/

 

・台湾同性婚合法化(5月)
台湾の最高司法機関である司法院大法官は、2017年5月24日「同性の二人による婚姻の自由に関する憲法解釈」を発表。民法が同性婚の自由を保障していないことを違憲と判断し、「憲法解釈」の公告後2年以内に関連法の制定・改正をすることを求めた。これにより台湾は2年以内に同性婚が認められ、アジアで初めて同性婚を合法化した国家になる。

●台湾、同性婚を合法化へ アジア初 憲法法廷が判断 (『日本経済新聞』2017年5月24日) https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H99_U7A520C1FF1000/
●台湾、アジアで初めて同性婚合法化へ (『TAIWAN TODAY』2017年5月25日) http://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=148&post=115836

 

・糸島の女装中年男(5月)
2017年5月14日午後5時頃に、福岡県糸島市で女装をした40代くらいの男性が出没していることが確認されて警察に通報があった。 黒縁の眼鏡、白色のシャツ、黒色のズボンといういでたちのこの男性は、屋外で着替えをし、エプロンのような服を着て、自転車で疾走している姿を目撃されている。

住吉の女装青年男ことちあきホイみ氏。左側にあるのは数か月に1度盗まれることで有名な愛用自転車(5代目)。2018年3月29日には6代目
自転車が無事消え去った模様。

●糸島市では、女装してるだけで、警察にマークされるのか? (三橋順子、『続々・たそがれ日記』2017年5月15日) http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15-4

 

・野良女装(6月)
野良女装とは、群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、資生堂のアイライナーとファンデーションの叩き上げのスキルだけが武器である女装のこと。つまり、女装自体を「お仕事」としていない流しや無所属の女装のことである。 具体的には、2016年より活動を開始した、海外のへヴィメタルバンドのような異次元メイクをする「ばにたす」と、ファッションモデル山口小夜子をインスパイアした「小夜子」の二人のことを指すことが多い。 当初は、どこの店に属さずにTwitterを中心に女装活動を行ってきたが、ネタとしてのクオリティの高さから徐々に注目が集まり、LINEスタンプの発売、Campy!barへの入店、デパートメントH等など各種イベントへの出演など、1年で露出の機会を劇的に増やしている。 またこのブームによって、2016年に一部の好事家の間で使われていた「人生」というフレーズ(悲哀を感じるオチに使われる言葉)にもふたたび注目が集まった。

 ばにたす(Twitter) https://twitter.com/vanitas5 ●小夜子(Twitter) https://twitter.com/sayoko__345

 

・前田邦博(7月)
前田邦博氏は、文京区の区議会議員を5期務める政治家である。2017年7月6日、性的指向と性自認に関連する人権擁護を目的とした「LGBT自治体議員連盟」が発足し、豊島区議の石川大我氏、世田谷区議の上川あや氏、中野区議の石坂わたる氏、埼玉県入間市議の細田智也氏とともに東京都庁で行われた記者会見に出席したが、その席上で、はじめて公の場でゲイであることをカミングアウトした。  カミングアウトを行った理由として、前田氏は15年前のパートナーの死別や独り身ゲイの親の介護問題などを挙げ、「議員生活5期目18年となり、50代の当事者として発信する必要があると感じた」と自身のウェブページで語っている。

 ●「私はゲイです」文京区議がカミングアウト 死別したパートナーへの思い (渡辺一樹、『BuzzFeed News』2017年7月6日) https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/20170706 ●LGBT自治体議員連盟 発足記者会見 (無所属 [ぶんきょう未来] 文京区議会議員 前田くにひろ公式Web、2017年7月7日) http://maedakunihiro.com/2017/07/07/lgbt自治体議員連盟-発足記者会見/
●QJインタビュー 前田邦博さん(文京区議) (『伏見憲明の公式サイト』2007年10月20日、初出:『クィア・ジャパン vol.5』(勁草書房、2001年)) http://www.pot.co.jp/fushimi/クィア・ジャパン・ウェブ(qjw)/688.html