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■規模が拡大したことで大きな変化したこと

2013年以来、毎年取材をしてきましたが、規模の拡大を如実に感じる大きな変化が今年はありました。
それは、「すべてを見ることは不可能になった」ということです。

昨年までと最も大きく変わったのは、2日めのパレードの日の進行です。
午前中、ステージで当事者の吹奏楽演奏者による「”みんな”でブラス!」(全国から集まった演奏者がリハなしで一発合わせで演奏する)などが行われたのち、正午からパレード開始。
パレードの先頭を「”みんな”でブラス!」とフラッグチームが盛り上げます。

そして会場に帰着すると、「”みんな”でブラス!」が演奏しながら次々とフロートが帰着するのを迎えます。

パレードの間は中断していたステージイベント(ライブや来賓挨拶など)が始まるのは、少なくとも最後のフロートが出発した後でした。

取材する側としては、比較すると人が少なめの1日めに企業ブースの取材を終わらせてしまい、2日めはステージの全貌とパレードのすべてのフロートを撮影するように、という動きをしていました。

ところが、今年は2日めの進行が大きく変わりました。

フロート数が昨年の23から37へと大幅に増加したことで、パレード全体の時間が長くなりました。

正午にスタートして、最終フロートのスタートは15時(当日は進行が早まり、少し早くなりました。ちなみに昨年は最終フロートのスタートは13時50分ごろでした)。
パレードが始まった後もステージではライブが続き、来賓の挨拶は14時半から開始。

この時点ではまだスタートしていないフロートが何台もあります。

このタイムテーブルを見た時点で、昨年までのように「できる限りパレードの全貌をおさえる」ということはできないのだと悟りました。

規模が大きくなる以上、その全貌を知ろうとするのは無理なことと悟り、今年はステージイベントをパスして、沿道から最終フロートを追いかけてみることにしました。

 

■「何処」で「何」を見るかでパレードの印象は大きく変わる

2000年代のパレード(TLGP)の頃は、前職の関係でブースやフロートを出展するという立場でした。

フロートを出展する側になると、考えることは「事故なく無事にパレードを帰着させる」ということだけです。自分が関わっているフロート以外では何が起きているのか、とか、沿道の様子はどうだったのか、などはほとんど分かりません。

そしてTRPは2013年から毎年、沿道でパレードの取材を続けています。
そうすることで初めてパレードの全体がどういうもので、また沿道の人はどのように見ているのか、ということを知ることができました。

2013年からの5年間で最も顕著なのは、パレードを歩く人たちの中心が当事者からストレートアライ(理解者・支援者)と呼ばれる非当事者に変わってきたことです。

それは今年出展されていたフロートを見ると明らかです。

 

・企業が出展したフロート

 株式会社チェリオコーポレーション

 Alfa romeo

 アクサ生命保険株式会社

 株式会社ラッシュジャパン

 AIGジャパン・ホールディングス株式会社

 EY Japan

   en world Japan

   株式会社ストライプインターナショナル

 デロイトトーマツグループ

 ギャップジャパン株式会社

 

・各業界・企業の当事者とアライが出展したフロート

 NIJIT – IT業界のLGBT交流会

 LGBTファイナンス(金融機関の当事者とアライ)

 LGBT-Allyプロジェクト(様々な業界のアライ企業が参加)

・当事者が中心ではない団体・グループ

 駐日欧州連合代表部

 公益社団法人アムネスティ・インターナショナル

 一般社団法人Get in touch

   TOKYO ZENTAI CLUB(全身タイツを愛する人の集まり)

 TOKYO NO HATE

 

今年出展した37フロートのうち、18フロートが当事者中心ではありませんでした。

また他の19フロートにも企業単位で参加している非当事者はとても多かったです。

当事者の比率が少ない、ということをネガティブに捉えれば

「TRPが空洞化して何のためのイベントなのか分からなくなっている」

ということもできるでしょう。

しかし、これをポジティブに捉えると

「セクシュアル・マイノリティに対する理解が進んできた」

と考えることもできます。   

個人的には後者の方がしっくり感じられます。
というのも、沿道でパレードを見ている非当事者の皆さんの反応が明らかに変わってきているからです。

初めて沿道で取材した2013年当時は、沿道にいる当事者以外は「何が歩いているの?」という感じでポカーンと見ているか、もしくは興味を示さない人がほとんどでした。

ところが2年くらい前から明らかに主旨を理解して手を振ったり写真と撮ったりする人が増えてきました。

例年、公園通り下の渋谷MODIのあたりで撮影していたのですが、今年は初めて表参道の様子を見に行ってみました。

すると、沿道の人たちが口々に「ハッピープライド!」と声をかけたり、手を振ったり、ハイタッチ(High Five)したりと、数年前には考えられないくらいパレードを楽しんでいるのが伝わってきました。