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■TRPが抱えている問題点とこれから

パレードに来場した各党の国会議員たち

 

当事者の自治体議員連盟のみなさん

 

東京レインボープライドに目を向け始めたのは企業だけではありません。
政治家からの注目度も確実に高まっています。

2000年代のTLGPに来場していた国会議員は、社民党の福島みずほ氏くらいでしたが、この数年は年々来場する党も政治家も増えています。

今年は、当事者の尾辻かな子氏が国会議員に返り咲いたことで、立憲民主党が揃いの党名入りレインボータオルを首にかけて大人数(枝野代表、蓮舫氏、福山氏ほか)で参加したことが話題になりました。

しかし、今年参加した国会議員は立憲民主党だけではありません。
自民党(朝日健太郎氏)公明党(谷合正明氏)共産党(小池晃氏・吉良よし子氏)社民党(福島みずほ氏)無所属(細野豪志氏)ほかの国会議員が来場しました。

また、パレードの後半には自民党の稲田朋美氏が飛び入りで参加した模様も報道されています。

日本のプライドパレードのレジェンドと現在の代表
(左から)山縣真矢氏、福島光生氏、南定四郎氏、砂川秀樹氏、杉山文野氏

 

パレードの認知度が高まり、企業も政治家も注目し始めたこの状況。

2000年にTLGPが始まった時から考えると隔世の感を覚えます。

「年に一回パレードして騒ぐだけでは何も変わらない」

当時はそう批判する当事者も少なくありませんでした。

しかし続けることはやはり力になるのだと、今年の東京レインボープライドを見て、しみじみと実感しました。

とはいえ、決して順風満帆な状況でもないと感じる面もあります。

多数の政治家が来場しても、性的少数者に関する法律が成立する見込みはまだ立っていません。

自民党の特命委員会でまとめた「理解増進法」案は未だ国会に提出されていません。

野党4党が国会に提出した「差別解消法」案は審議されることもなく廃案になったにも関わらず、立憲民主党が再び国会に提出しようとしています。

与党案と野党案で対立したままでは、結局審議が進むこともなくどちらも立ち消えになってしまうのではないか、という不安があります。

そして企業に関しても、手放しで喜べる状況ではありません。

会場に大きなブースを出展している一部の企業(丸井、パナソニック、AIGなど)以外は、CSR活動(社会的な活動やボランティア的なもの、現在の日本では「本業とは関係ないが重要である」という認識が多い)の一環として取り組んでいるにすぎないと思えました。

つまり、「ここに市場がある」と捉え、相応の予算を組んで宣伝費を投入しているわけではないのです。

企業が出展するフロートが増えたことをご紹介しましたが、予算を組んで企業や商品を宣伝するフロートを出すわけではなく、企業名の入った揃いのTシャツや旗、ボードなどを持って歩くというパターンがほとんどです。

小規模のブース出展と、揃いのTシャツくらいでしたら、年間のCSR活動予算で計上できるでしょう。

つまり多くの企業は、TRPに(そしてLGBT施作に)まだ本腰を入れて参加しているわけではないのです。

2020年という一つの目標があり、世界各国での同性婚容認の流れがあり、そして広告代理店の仕掛けによって、LGBTブームと呼ばれるように一見盛り上がって見える今の状況は、その足元が非常に不安定であると言わざるをえません。

今年のTRPの華やかな盛り上がりを一過性のブームで終わらせないためにも、日本中に性的少数者に対する理解を如何に根付かせていくのかを、真剣に考えないといけない時期にさしかかっているのだと考えさせられました。


冨田格(とみたいたる)

LGBTQにまつわる様々なことや、地元・別府温泉を中心にした温泉にこだわるフリーライター・編集者。
ダイヤモンド社の「オリイジン」「ダイヤモンドオンライン」、「温泉部」「IGNITE」「Letibee LIFE」などで記事を執筆。元・月刊G-men編集長。53歳のゲイ当事者。

毎週月曜日は新宿2丁目 A Day In The Lifeで「食堂酒場いたるの部屋」を営業中。