「変態年増のMixBox」その4

今回の原稿も、『Hの革命』(太田出版・のちに徳間文庫)に所収されたものです。レズめかしいことこのうえない前出の「貝合わせ」と違って、このたびのテーマは「女性器」。これならストレート/バイセクシュアル男性も興味をお持ちになれるのでは、というよりぜひ属性問わずひとりでも多くの女性の関心を集めたいという願望があるのです。なにせアナタ、♀である以上とりあえずどなたもひとつは所有されているブツなのですから、もっと自らのソレに(他人のでもよいです)好奇心を抱いていただきたいっ!という強い衝動にかられての選択なのでした。その反面、アデイのメインなお客様であるゲイの方々には申し訳ないチョイスであったりもするのですけど、今後各種SMやらスカトロやら赤ちゃんプレイやら、男性同士の行為の参考になるかもしれない項目も取り上げていく予定ですので、どうかご寛恕くださいまし(平伏)。

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「ヘアに覆われた恥骨の盛り上がりからアナルにいたるまで、全部大好き。そこに顔うずめてるときが至福の瞬間、ていうか」
「小陰唇ほどキュートなクチビルって、絶対ほかにないって思う。ほら、あれって指で開いてみると外側と内側の色の違いがはっきりするでしょ。外側のグレーがかったパーツの質感と、内側のピンクで露骨に『肉』って感じのウエットな部分のコントラストが、なんともいえない」
「やっぱクリトリスにフェティッシュな感情が集中しちゃうな。指で甘皮から本体を剥きだしにして、充血前のまだ白みがかったその部分に舌を這わせるの。舌を動かすにつれて彼女の全身に走る震えが自分にもフィードバックしてきて、すっごく感じちゃう。クリトリスが少しずつ充血して、ピンク色の真珠が血の色のルビーに変化していくのを確認すると、もうどうなってもいいって感じ……!」

と、女性を愛する女性の方たちに女性器へのオマージュを語らせていると、あっというまに地球最後の日。筆者も小学生の時分、「いずれタンポン使うときのために、位置確認しとこっと♪」程度の軽い気持ちでパンツ下ろして鏡にその部分を映しだしてみたところ、自分のだということをすっかり忘れてそのデザインの官能性に骨のズイまで魅せられて、人生はじまって以来の大興奮を覚えた記憶があります。先天的なオンナ好きの要素とは、こうして萌芽のときを迎えるのでしょうか。

ちなみにその機能のほうもそんなに粗末なレベルではなく、とりわけオーガズム時の締め付け力にはモノ凄まじいものがあり、いつも「指、折られちゃうかと思った……」などと相手の女性から感嘆のコメントを賜っております。「テメエごときの道具のグアイ自慢なんざ、聞かされたかぁねえわよっっ!!」という感想をお持ちになられた方も少なくないと思われますが、これは単なる「事実の開示」です。たぶん、長年女性のしなやかな指ばかりを相手にしてきたからこそサイズも締めワザもそれ相応になってしまったのではないか、と推測しています。実際に指の骨折沙汰は女性同士の世界ではそんなに珍しい話ではなく、あまりにも名器でらっしゃるそこのあなた、「ヘシ折った小指の本数」を自慢するようなバイオレンス路線はそろそろお捨てになって、もう少し思いやりあふれる愛し合い方を志向されたほうがよろしいかと。

——さて、外見といい機能といい、ここまでヒトを虜にしてやまない女性器ですが、なかには「他人のを観察するのは大好きだけど、自分のを見られるのはガマンできない」などという、矛盾した感情を持たれる方も存在します。こうした心理の背景には、小陰唇左右非対象・色が黒ムラサキ・異様にクリトリスが巨大・痔持ち(それも脱肛痔)である、など、他人からすれば「それってただの自意識過剰じゃん?」な思い込みがあるようです。見せてほしくてしようがないのに、パートナーは断固として照明アリの状況では開脚しようとしない。このような悲劇的境遇の、打開策やいかに。

最も手っ取り早い方法としては、「スキをついてベッドの四隅に相手の両手両足を緊縛、力ずくで股間を割り開く」がございますが、強引なやり口はその後の関係の行方を考えますと、あまり賢明な方策とはいえません。平和的な行動でパートナーが抱く自分の性器へのコンプレックスを拭い去るには、「女性器なんて千差万別、多少の特徴は個性のうち」という現実を認識させることではないでしょうか。最良の策は、もっと女性体験を積ませて実地にたくさんの現物をその目に焼きつけさせてあげることですけど、これは恋人としてはもっともカンベンされたい選択肢でもあります。

おすすめなのは、「血判つきの横流し厳禁の誓約書といくばくかの金銭譲渡のうえで大勢の友人のソレを顔写真抜きで撮影させてもらい、数十枚の女性器近影を恋人に贈呈」という手段。パートナーの不安解消と今後の性生活のさらなる充実のためにも、出費は惜しまないようにしましょう。

 

(つづく)

川西由樹子 / 90年代から女性同士の性について赤裸々に表現しているビアン・ライターの草分け。ビアン雑誌「カーミラ」でも主要ライターとして活躍。著書に『Q式サバイバー』など。