「変態年増のMixBox」その8

ベロチューだけがキスじゃないっ!?

 

このところマニアックなテーマばかりを続けざまに取り上げてまいりましたので、今回は愛撫の入口中の入口、キスを題材にしてみようかと思います。

実のところ唇は、けっこうな性感帯。さらに、女性のソレは柔らかく弾力に富み、たいていの場合手入れも行き届いていて、吸いつくようにしっとりとしなやかな感触を持っています。キスするなりディープ方面へヒタ走り、舌をねじ込んで絡ませ合うわ吸い合うわというのもケダモノじみていて欲情のほどを表現するにはもってこいだとは思いますが、たまには大人の余裕をもって、唇そのものの感触を心ゆくまで堪能してみるのも、悪くないのではないかと。

そんなこんなで、以下は例によって例のごとく『Hの革命』(太田出版・のちに徳間文庫)に寄稿したものですが、今回は「ライトなキスもいいんじゃねーかしら!?」なんて発想から、大幅にアレンジしてあります。オトナのキスは、ヘビー路線一辺倒とはかぎらない。という観点で、愛撫としてのくちづけという行為を、いっぺん見直してみるのもよろしいのではないでしょうか(個人的な経験からいうと、キスするとソッコーで舌突っ込んでくるやつ多すぎ! てかそればっかじゃねえか、という私怨?も、今回の路線を選ばせた動機となっている気が、しないでもありません)。

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「あたくしの舌は、ひと呼んで『超強力ターボ搭載肉質バイブ』。当然キスのウマさだって、三国一よぉ!」——舌づかいの激しさに自信があるからと「キスの達人」を豪語するあなた、そんなに人生甘くありません。

ありとあらゆる性技のなかでキスほど小手先のテクよりも雰囲気が優先されるものもなく、「これっぽっちも緩急つけずに、ヤミクモに舌動かしまくり」なやり方こそが、先方に最も「ド下手クソ!!」の印象を与えるもの。舌の根にドローンのローター用モーターを埋め込んでいるヒマがあったら、とっととパートナーの唇と下半身をトロかすムードづくりを、研鑽すべきです。

おまけに女性の身体には「いまいちソソられないキャラ相手だと、感度が氷点下まで一気に下落する」という特質が備わっているため、肝心の最初の一歩であるキスでつまずいてしまうというのは、致命的。くれぐれも注意しましょう。

さて実践編ですが、唇同士を重ね合わせてもすぐさま舌を口中にネジ込んだりせずに、いったん離れてみて小鳥がついばむような軽い接触から始めてみるというのはいかがでしょうか。ヴァージニティあふれる純情な触れ方は、相手がこれまで何万人とまぐわい抜いてきた百戦錬磨の暴食系ビッチであろうとも、まだ女も知らなかった童貞少女だった日々を思い起こさせ、新鮮な気分で身体の芯に火を灯らせる可能性大です。

そのまま時間を置いて「え? これでおしまい?」と不安な思いへと相手をいったん突き放しておいて、いきなりディープに! 攻めたおす!!! のも悪くありませんが、ここでは触れるか触れないかのくちづけを何度も繰り返してみます。それも、少しずつ角度や位置を変えながら、唇で唇を甘噛みしたりわざと口の周辺に移動してみたりと、バリエーションをきかせて軽いフットワークでジャブを放つのです。唇そのものの感触を味わえるのと同時に、相手にしてみれば性感帯の集中した部位をさまざまな形で探りたくられるのですから、これはこれで刺激的な体験です。ちゅ、ちゅちゅっちゅ、などと間欠的に音を立てるのも、聴覚への愛撫となってイヤがうえにも雰囲気を盛り上げますので、地味ながらも重要な補助攻撃といえます。

ですけどやはり、興奮の度合いが高まれば高まるほど、舌と舌の絡め合いや口内への刺激が恋しくなるもの。やがてパートナーが焦れに焦れて自分から舌を挿入させてきたら、「ふふん、この程度でもう我慢の限界?」と古い少女漫画の小意地の悪いカタキ役にでもなったつもりでセセラ笑い、余裕をもってその欲望を受けとめてあげましょう。こうした「引きワザ」には、相手に「ああん、こんなに狂わされちゃってる……」と大いにテクニシャンぶりを印象づける効果あり、ぜひお試しあれ。

「もおもお、ガマンの限界!!!!」というところまで焦らしまくりまくったら、満を持して攻勢に転じます。両手で先方の頬を固定し乳房と乳房を圧しつけ合い股間にフトモモ割り込ませ、全身で情熱を表現しつつも、舌の動きにはあくまでも繊細なバイブレートをきかせて。攻撃対象は舌だけに限定せず、口蓋(性感帯充実!)や歯ぐきなどへも入念なサービスを忘れずに。

さんざっぱら焦らされたあげくのハードなキスのラッシュに、対戦相手は完全にコシ砕け。すっかり「どうにでもして……」モードになった女体は、あなたに向かって開いています。(了)

 

川西由樹子 / 90年代から女性同士の性について赤裸々に表現しているビアン・ライターの草分け。ビアン雑誌「カーミラ」でも主要ライターとして活躍。著書に『Q式サバイバー』など。